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2015年07月10日

疑惑・・・3

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研究所内第1会議室

伊藤がすぐに返答した。

『はい。解っていました。』
『我々は、心理状態が思考回路に及ぼす影響を思考解明と言うワードで探究してきました。』
『環境によって形成された思考回路は、あるスイッチで行動を伴う狂喜に向かいます。』
『どう言うことですか?』

『スイッチには色々ある。 最近の研究では“遺伝子スイッチ”が注目されているが・・・』
『“殺人スイッチ”と言うべきものでしょうか。』 
『とにかく、そのスイッチを見つけることが思考解明と言うことなんですか?』
『我々は、脳裏に侵入しそのスイッチが何なのか?を探ってきました。』

伊藤の声が少し高くなっている。

立ち上がった新庄の顔は高揚している。

『そのスイッチを見つけたんですね。』

少し間をおいて、伊藤は誇らしげに続けた。

『そのスイッチは視覚にありました。』

『視覚』

『つまり、目で見なければスイッチは入らない。』
『そうです。それを確かめる為に、我社の研究員に極秘に実像化をしてもらいました。』

『実像化と言っても・・・・』
  


Posted by タンクん at 07:21Comments(0)

2015年07月10日

陰鬱

2025年 4月

プロジェクトの終了を告げられて、研究室の穴も封鎖された。
しかし、私の抱いた疑惑はだんだんと大きくなっている。
どうにかして確かめなければならない。
私は実像化の意味はわからないが、確かに菜緒子は存在していた。
私の創り上げた“菜緒子”がなぜそこに存在しえたのか?
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写真の撮影者が見たい
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“個別意識空間侵入装置”といっても人工的に作り上げた装置ではない。
いつからか存在していた“穴”を偶然発見しただけである。
この“穴”、 “人の脳裏に侵入できる穴” が何の為にここに存在していたのか?
その最大の謎を知りたいと思っているが、まずは“菜緒子”を実像化できた証拠である“その写真”の
撮影者が何か知っているのではないか?

私は直観的にそう感じている。
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封鎖されていたが、プロジェクトメンバーのペネトレイターである私にとって
“その穴”に入るのは容易だった。
また、あの感覚が体を襲う。
なんとも気味の悪い感覚・臭気・・・・・

穴の出口は白井の脳裏。
久しぶりの白井だが、妙に懐かしくもある。
設定時期は例の写真。撮影者は目の前にいる。

足の長い三脚の上にライカだろうか?ごついカメラがちょこんとのっている。
カメラから伸びた暗幕をかぶった撮影者がレンズを調整している。
『はい。撮りますよ。いいですか~。』
『はい。チーズ!』
撮影者が顔を出した。

・・・・ 安藤 ・・・・・

  


Posted by タンクん at 18:08Comments(0)