2015年07月02日

警鐘・・・2

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その事件は猟奇殺人として当時有名になった。
九州の出会い系サイトの関係者のみ次々に殺されたのだ。
そのほとんどが、頭蓋骨に穴を明けられていた。
その真意は未だ解明されていない。
週一で繰り返された惨劇は、ある日ピタリと止まった。
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研究所内のその部屋の壁には、屈んで入る位の穴がある。
中は暗闇で、その向こうに小さな光が見える。
ここは関係者以外は入れない様に管理されている。

穴の中は生暖かく、奥に向かって空気の流れがある。
壁はしっとりと濡れ、奥に行けば行くほど透明な粘液が垂れている。
柔らかな突起物もある。血管の様な管が走り、中を何かが流れている。
中に入って20mほど進んだところに薄いカーテンの様な膜がある。
膜を破ると、勢い良く風が吹き、穴の奥に押し込まれる。

何度来ても、この感覚は好きになれない。
初めて来たのは、安藤に指示されて、ある犯罪者に会いに行った時だ。
彼は知能犯と言うべきか?このプロジェクトの本来の趣旨“殺人者の思考解明”
とはほど遠いものではあったが、初心者向けの思考解明訓練には打って付けだったのだろう。

彼は会社の金をサイトで運用し、利益を会社に還元していた。
法的には特に問題なさそうではあったが、サイト入会者のほとんどが金融機関や企業役員クラスであった。

暇そうな上層部に遊びを提供していただけなら問題は無いと言えるが、会社業績と直結していた裏には、
独自の勧誘方法や持続方法があったはずである。
問題は、関係者の死亡率が高いことである。



Posted by タンクん at 08:37│Comments(0)
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