祖業・・・1
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2013年11月
<相原 真>
私は菜緒子に導かれるまま、非日常を楽しんでいる。
会社の再起も順調に思われた。
リーマンショックも何とかやり過ごし、綱渡りではあるが、何とか過ごしている。
私としては、そのことも楽しんでいたのだが・・・
“菜緒子”は始まりを告げて去っていった。
『白井部長が辞めて何とかやってきたけど・・・・』
『そうだよな。げってんだったけど、やり手ではあったよな。』
『知ってるか? 部長がやってたあのサイト、関係者は大物が多かったってな。』
『大物?』
『なんでも、客は金融機関のお偉いさんばかりなんだって』
『・・・・・』
『それで、今回のリーマンの情報もいち早く察知してたらしいぞ』
『・・・・・』
『我社の社長も金持ってるはずだよなぁ~』
同僚の話に、私は直感的に“菜緒子”を感じとった。
菜緒子は誰にでもなれる。そして操れる。
菜緒子の能力があれば、何でもできる。
そう、菜緒子はそれを私に教えたかったのではないか?
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